「ちょっと休憩」
休憩って…ど、どうしたらいいの?
「杏花?」
「はい?」
要の顔を見上げると、自然と唇が重なる。
―――チュッ。
軽く重なる唇は、啄むように角度を変え、
何度も……何度も……。
要の唇は柔らかくて、
私の唇を味わうみたいに甘噛みする。
何処までも追いかけて来る。
逃げれば逃げるほど、甘く蕩ける罠のように。
それでも止まぬキスの嵐。
触れている場所から要の体温が伝わってくる。
私は思わず要のポロシャツをギュッと掴んだ。
力強く抱き寄せられると何だか心地良くて、
身体の体温と共に心も温まり満たされる。
どれくらいの間、キスをしていただろうか?
5分?10分?30分?それとも…1時間??
時が経つのを忘れるほど要との甘いキスに酔っていた。
甘い時間はあっという間に過ぎ、もうすぐ夕方。
見事に赤く染まった夕焼けを背に、
要はクルーザーをマリーナに停泊させた。



