社長と秘密の生活



髪がサラッと風になびけば、

乱れた髪を整える指先に皆、釘づけ。

髪を掻き上げる仕草に艶気があって、

思わず触りたくて手を伸ばしてしまいそう。

彼の半径1メート以内は別世界で危険区域。

甘い香りが漂って…

彼が近くにいるだけで心臓が暴れ出す。

魔法?…妖術?…何だろう?

黙っててもイケメン間違いなしなんだけど、

そんな彼が甘美な声で『杏花』と呼ぶ。

身体の芯から蕩けそうな…私。


一体いつから彼のこと気になったんだろう?

今朝?…昨日?……一昨日?

それとも……初めてあったあの日?

気付かぬうちにどんどん気になる存在に。

まだ彼のこと、殆ど知らないのに。


そんな完璧な彼が、

私みたいなショボイ一般人と一緒にいたら、

そりゃあ、皆ハンターみたいな熱視線を送るわよねぇ。


『皆さん、ごめんなさいねぇ~この人は、私の旦那様なんですよぅ~』


って心の中で叫んでる。

優越感で自然と顔が綻ぶ……私。

……ウフフッ。