社長と秘密の生活



何も言うことが出来ない。

恥ずかしすぎて死にそう……。

思わず手を引っ込めようとするんだけど、

要が抱きしめているから手の行き場に困る。

………どうしよう。

この手は一体どこへやったらいいの?

空中に舞う自分の手が……。

もう、穴があったら入りたい。

裸に近いこの状態で、

経験初心者の私には全く思考が働かない。

一体、どうしたらいいんだろう。


すると―――、


「良く寝れた?」

「………うん」


そんな甘い笑顔で見つめないでよぅ。

余計ドキドキして、呼吸さえ普通に出来ないから。

艶めいた彼の瞳は私の瞳を放さない。

何か……何か話題を変えないと……。

とっても危険だと思うのは私だけ?


「お腹すいたね?」


私は咄嗟に話題を変える。


「俺の朝食はここにあるんだけど、杏花のご飯は食べに行かないとな?」

「っ!!///////」