「特にね、CRUSHのメンバーなんか、家族よりも近くにいる人たちなわけ。晴菜を一番奪い易い位置にいるんだから。晴菜は可愛いから、すぐ目付けられるよ?芸能人ってね、意外と恋愛に飢えてるから。」

“可愛い”

きっと、今までの悠矢に言われていたら、晴菜は顔を赤くして嬉しがっているだろう。


でも今は違う。全然嬉しくなんかない。

晴菜の中から出てくる感情は。

【怖い】 【痛い】 【やめて】

感情というより心の声。

晴菜の頬は違う意味で赤くなっている。

ジンジンして痛い。

もうどれくらい殴られ続けたのだろう。

悠矢は一旦手を止め、尋ねてきた。

「ねぇ、これで晴菜は俺のモノって分かってくれた?」

もう涙の1つも出ない。声も出ない。

晴菜は小さく頷いた。


「そう?なら、もうおしまい。今冷やす物もって来るね」