「何かよく分からない。調子悪いし、今日は帰るわ」 「ホントに大丈夫か?」 「平気だって!」 無理に笑顔を作る。 オレは、正紀の視線から逃げるようにその場を後にした。 あの息苦しさは何だったのだろう。 踏み出した途端に襲ってきた。 そして、一歩下がったら収まった。 不可解な胸の痛み。 突発的なものだとしても、不自然すぎる。 オレは必死に自転車を漕いだ。