こんな人、本当にいるんだ。


っていうのが、率直な感想。



学校の王子、というかなんというか。


やたらに美形で、やたらに不機嫌で、やたらにファンが多い感じの。



………ファンって。そう、ファンってか取り巻き的なジャンルの人達が実際いることにも、びっくりした。

いゃもぅまじなんていうか……

せっかく憧れの学園に入ってまだたったの三時間。

なのにこの不安はなんだろう……。





…うちの高校ってのはいわゆる小中高大一貫の私立校、でいわゆる金持ちのマンモス校なんだけど、高校から外部出身者の特待生枠がある。
もしその特待生になれれば、公立に通うよりもお金がかからない位援助してもらえる。

この学校の特徴は、金持ちなだけに制服が可愛いとか校舎設備がそうとう良いとか良い条件がいっぱいあるんだけど…
中でも私が一番惹かれたのは、高校では一番ってくらい芸術に力を入れてるところ。


公立じゃ考えられないくらい、音楽、演劇、美術など芸術に関する授業や設備が整ってている。


昔っから歌や演劇やダンスが好きだった私は、中1の時にこの高校の文化祭で講演された学生ミュージカルを観てもう、この学校に入るしかない!!と、思ってしまった。

その後本格的に学校のことを調べて、知れば知るほど行きたくなって……

わりと有名な金持ち校に、公立より安い金額で入るんだから倍率は半端じゃなかったけど、勉強と実技の試験でなんとか特待生で受験を突破して目出度くこの高校に通うことになった。


そしていよいよ入学式。
もちろん知り合いなんて1人もいなくて、あぁ本当に緊張するなぁとか思いながら入学式会場の体育館へ向かう。


予想以上に華やかで、色めき立っている雰囲気に圧倒されながらも、一際騒々しい体育館に足を踏み入れた。