「ただいま」
家中に灯りが点いてるそのリビングに向かって、私は玄関から声を上げた。
ママの返事がないまま私はリビングへと向かう。
一気に疲れてしまった私は一息吐き、テーブルの上に鞄を置いてから冷蔵庫へと向かう。
そこから取り出したペットボトルの水をそのままゴクゴクと喉に流し込んだ。
「…ママ―、ママ―」
冷蔵庫の前でそう声を上げる。
こんなにも灯りが点いてるのにも係わらず、姿を表せないママに不思議ながらに首を傾げた。
「寝てんのかな」
…もう23時過ぎてるし。
でも、なんでこんなに電気点いてんの?
リビングに、居間、それに…廊下まで。
不審に思った私は電気が点く居間を覗き、そして脱衣所へと向かった。
お風呂にもいないその光景。
「…あれ?」
2階に上がって全ての部屋を覗く。
だけど、いないその空間の部屋に胸が焦りだした。
「ママー?ママ?」
階段を駆け下りて、何気なく見たその場所…
多分、私の息はきっと止まってた。
額から流れ落ちる汗に震える手が怖くて怖くて仕方がなかった。
「…ママっ、」
声を上げてママにそっと触れた。
トイレでグッタリしているママは額から汗を流し目を開けようとしない。
トイレに吐き捨てられた少量の血が、私を恐怖に突き落とした。



