駅でさよならって別れた後、電車の出入り口のドアに寄り掛って窓の外を眺めてた。
真っ黒な暗闇にまばらに点いてる電気の明かりが街並みを彩らせる。
“人生なんて楽しくないよ”
やけに引っ掛かるその言葉。
あの頃を…
あの頃を思い出してしまう言葉に痛い。
そして、ふと気になった。
“彼女を想ってるから”
“もう…いないけど”
天野さんはすぐにフッ切ったけど、どー言う意味なのか気になった。
「…二人とも意味不明」
ポツリと呟く声は電車の走る音でスッと消えた。
電車を降りた所は自分の家の最寄り駅。
こんな暗闇が慣れてるなんてちょっとおかしいのかも知れない。
灯りなんてほぼないこの夜の路地を歩くのは昔の習慣だった。
もう、5年も経ってんのに何も風化してない。
記憶も行動も、何もかも全てが。
日本に帰るとやっぱし思い出しちゃう。



