「天野さんさ、いつも鏡とネイルと化粧だね」
苦笑いにそう言った私に天野さんは寂しそうに笑った。
「…もっと、近づきたいから」
「近づきたいって?」
「彼に近づきたいの」
「へぇー…天野さんの彼氏?」
「そう…年上。私まだ17なんだよ。もすぐで18歳。でも彼は5歳上。そっから見ると私ってまだ子供じゃん。…釣り合いたいだけなの」
悲しそうに笑う天野さんの顔が切なかった。
5歳上。
私と翔の歳の差と同じ。
あの頃は多分、釣り合いたいとかそんな風に考えてはなかった。
ただ自分の事が精いっぱいだった。
そして、なんで私なんだろうって、ずっと考えてた。
今思うと歳の差なんて全然関係ない。
好きなんだからそれでよくない?
「歳の差なんて関係ないよ。…天野さん、綺麗だから大丈夫だよ」
「それ、美咲センセーに言われたくない」
「私はただ、ホントの事言っただけ」
「センセー彼氏いるんでしょ?」
「そう言うのって気になるの?」
「美咲センセ―だから気になる」
「なにそれ」
思わず天野さんの言葉に私は苦笑いになる。
「って言うか美咲センセーは男が居るって奏斗言ってたもん」
「…奏斗って一条くん?」
「そう」
あの馬鹿。
秘密って言ってんのに皆に言いふらしてる。
ってか、一条くん何してんの?



