永遠の愛

「おかえり」


そう言って玄関まで迎えてくれた翔に思わず笑みが零れる。


「ただいま」

「飯、食ったよ。美味しかった」


すれ違いざまにクシャっと頭を撫でられる。


「ごめんね、いつも居なくて」


ソファーに近づいた私は肩に掛けてある鞄を下ろす。


「別に平気。それは今まで美咲にさせてきた思いだから。それに俺、そんな子供じゃねぇし」


そう言った翔は笑みを漏らす。

帰宅後はいつもお風呂に入ってから教材をパラパラと捲る。

明日はどこからどこまでだとか、英文を読んで少しだけ頭に叩き込む。


でも、だけど今日はそんな気分じゃなかった。


「疲れてる?」


不意に聞こえた声に視線を上げると、手に持っていたビールと共に翔は隣に腰を下ろす。

テーブルに開いてある教材。

英文がズラリと並んだ文字を翔は所々、口を開く。


「…やっぱさすがだね」


教材を覗き込む翔にそう言って私は少し微笑む。


「うん?何が?」

「頭の出来が違うって事」

「何だそれ」


そう言って翔はタバコを咥えて火を点けた。