「誰にも言わないでね」
「つか、何で隠してんの?」
「隠してないけど、そー言う話しされたくないだけ」
「へー…でも知られてるほうがいいのに」
「何で?」
「だから気をつけてって言っただろ。美咲センセーは美人って噂だから口説かれんじゃねぇの?」
「だから私は一条くんに気をつけたい」
「それ、どー言う意味だかわかんねぇんだけど」
「どー言う意味だろーね」
「何だそれ。やっぱ美咲ちゃん、変わってんな」
そう言って笑ってる一条くんの顔。
そしてたまに出てくる悲しみの意味が気になって仕方がなかった。
一条くんと別れた後はトボトボと足を進めた。
頭の中にあるのは教師になった不安じゃなくて一条くんと天野さんの事。
似た者同士って言葉が引っ掛かって、マンションに着いてからも頭は冴えなかった。



