「ねぇ、美咲ちゃんって男いんの?」
笑った一条くんはやっぱ、見るからにチャラかった。
確か、一条くんは二十歳。
「どうして聞くの?」
「知りたいから」
「ふーん…。居ないって言ったらどうする?」
「嬉しい」
「いるって言ったら?」
「ショック」
「じゃ、言わないでおくね」
そう言って素っ気なく私は笑った。
「セコイね、美咲ちゃんって」
「つか、あのさ。その美咲ちゃんってのやめてくんない?」
「何で?」
「気に入らない」
「じゃー、センセーで」
「それもあまり好きじゃない」
そう言った私に一条くんは咥えていたタバコを離しゲラゲラと笑う。
「じゃ、何でセンセーになろうと思った訳?」
「分かんない」
「へぇー…なんか美咲ちゃんって変わってんね」
「そう?」
「そんな奴、あんまいねぇけど」
「……」
「まぁでも?俺は美咲ちゃんで良かったかな」
「だからその呼び方…。って、もういいや」
諦めてため息をつく私に一条くんはフッと笑った。
絶対この顔、モテる顔だ。
って、私何思ってんだろ。



