「お前、引きつって笑うな」

「あー…なんか、」

「なんか?」


顔を顰めた諒ちゃんは首を傾げる。


「実感わかなくて」

「俺はお前に実感わかねーよ」

「は?何それ」

「な、センセ」


嫌みったらしく笑うその顔、変わってない。


「その言い方辞めて!翔にも言われるけど気にいらない」

「なんだそれ。お前そんなんでやっていけんのかよ」

「分かんない」

「相変わらずだな、お前」

「諒ちゃんに言われたくないけど」


そう言って、あたしたちはお互いに笑った。


葵が作った料理をテーブルに並べていく。

そんな行動を目にしている時だった。鞄から伝わる秘かな音にあたしは携帯を掴んだ。




…翔。