「…え、何?」

「おめでと」


クッと口角を上げて微笑む翔に呆然としたまま首を傾げると、


「誕生日だろ、今日」


そう言った翔にハッとした。


「まさか忘れてたとか?自分の誕生日」

「あっ、」


クスクス笑う翔に思わず苦笑いを漏らす。


「さすが美咲」

「どー言う意味?翔だって忘れてたじゃん!」

「別に忘れてねぇし」

「でも、これっ、」


視線の先にはリボンが掛かった箱。


「気に入るかどーかは分かんねぇけど」

「開けてい?」

「あぁ」


スッとリボンを外し蓋を開ける。

開けた瞬間、目に飛び込んで来たのはシルバーの時計でふちにはダイヤが散らばっている。


「…綺麗」

「それなら仕事で使えるかなって」

「いいの?」

「あぁ」

「でも高そう…」

「またそれかよ」

「だって…有り難う。大事にする」

「あぁ」


笑みを漏らすあたしに翔も同じく笑みを漏らす。

その時計を眺めていると、


「あと、これな」


そう言ってスッと笑みを消した翔は一枚の封筒を差し出す。

首を傾げながらそれを受け取り、


「何これ」


翔に視線を向けた。