「…な、何?」
「まぁ、座れよ」
両手をポケットに突っこんで座ってる翔は私を見上げ、すぐに目の前に広がる海に視線を向ける。
言われた通り腰を下ろした私は、口を開くことなく同じ様に海を眺めた。
「…なんか、もうここが俺達の場所になってんな」
そう言った翔は苦笑い気味で口を開く。
フーっと軽く息を吐き捨てた翔が、なんだか怖くなって思わず翔に視線を送った。
「ねぇ、なんかあった?」
咄嗟に聞く私に翔はフッと鼻で笑う。
「何かって、」
「ここに来るのってさ、ほら…特別って言うか…」
「まぁ、そうだな。全部、全部ここから始まったみたいなもんだったからな」
「だから聞かないよ、私は!」
だからそう思わず声を上げてしまっていた。
「え?何を?」
「聞きたくないよ、別れ話なんて」
翔の雰囲気から思わず悟って出てしまった言葉に息を飲む。
なのに翔は唖然としたまま私を見つめ、挙句の果てにため息までも吐き出した。



