勢いよく飛び起きて掛け足で向かった香恋ちゃん。
その方向に視線を送ってると、
「しょーくんっ、」
香恋ちゃんの甲高い声が響いた。
「おー、ビックリしたぁ…」
そう言いながらリビングに来たのは香恋ちゃんを抱っこした翔。
抱っこされた香恋ちゃんは物凄く嬉しそうだった。
「おかえり。早かったね」
「あぁ。つか、どした?何かあった?」
そう言った翔に苦笑いしながら私は首を振る。
「ううん。香恋ちゃんが翔に会いたかったんだって」
「へーそうか。香恋、俺の事スキか?」
「うん!!好きー…」
そう言って、翔にベッタリする香恋ちゃん。
「香恋。可愛いなー、お前。俺も香恋の事、好きだよ」
そして昔の営業トークを口にする翔に思わず呆れる。
「あのね、みぃちゃんも翔くんの事いっぱい好きって言ってた」
「え、香恋ちゃん。それは言わなくていいよ」
「なんで?」
「なんでって…」
何故か恥ずかしくなってしまう私に翔はクスクスと笑みを浮かべる。
「お前も香恋みたいに好き好き言っていいぞ」
「もー…何言ってんの?」
「みぃちゃん、可愛いね」
「香恋。お前も可愛いぞ」
「きゃはっ、」
ほんと、この2人は…
日本に帰って来た時、確か葵は言っていた。
香恋ちゃんは翔に懐いてるって。
諒ちゃんより懐いてるって、そう言ってた。
それは今でも変わってないみたいで、香恋ちゃんはやけに翔にベッタリする。
だからそんな翔も受け答えるかのように、頬を寄せあい――…
「あの、」
思わず小さく呟く私に、翔は視線を向ける。
「うん?」
「私の事、忘れてない?」
少しだけ顔を顰める私に翔は口角を上げた。


