これから夕方になろうとする時間。
学生たちが楽しそうに帰っていくのを見て懐かしさを感じる。
葵が働きだしてから、そう毎日が早く帰れるって訳でもないから、諒也のお母さん。そして葵のお母さん。
だれか手が開いてる人が香恋ちゃんのお迎えになってた。
でも、みんなまだ働いてて、その忙しい合間を拭っての迎えだから、それをあたしが望んだと言う事。
だから葵が遅い日はこーやってお迎えに来ることがいつの間にか今の日課になってた。
だから、それがあたしも嬉しい。
こうやって可愛い笑顔を見ると元気になれる。
「ねぇ、香恋ちゃん。今日の髪の毛可愛いね」
2つに束ねた髪を左右にお団子にされている。
そしてピンクのウサギちゃんがついたゴムで縛ってあるから余計に可愛い。
「…ママ」
そう言った香恋ちゃんは気になりだしたのか、髪をムシャクシャ触ってた。
「そんな事してたらグシャグシャになっちゃうよー」
香恋ちゃんの手をそっと頭から離すと、
「しょーくん…」
不意に呟いた香恋ちゃんに思わず辺りを見渡した。