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1日が長く感じたのは初めてだったのかも知れない。

翔のマンションと自分の家をまた行き来してからもうすぐで2週間。


とりあえずその暇な時間を職探しに使ってた。


そして、今は。


「…みぃちゃん!!」


あたしの名前を呼ぶと同時に駆け足で向かってくるのは可愛らしい香恋ちゃんの姿。

小柄な身体を器用に動かしてきた香恋ちゃんは、あたしの元へと近づくと勢いよく抱きつく。


「おかえりっ!」


見上げてニコっと微笑む香恋ちゃんの頭をあたしは優しく何度か撫ぜた。


「…今日もおりこうさんでしたよ?」


そう言いながら目の前に立つのは幼稚園の先生。

微笑む香恋ちゃんを見て、先生までもが笑みを漏らす。


「へー…香恋ちゃん、すごーい」


キャッキャ笑う香恋ちゃんはあたしの足から離れようとはせず、もうベッタリ。

これじゃママって言われてもおかしくはない。

そんな香恋ちゃんを見て、


「嬉しそうだねー」


先生は香恋ちゃんの頭をスッと撫でた。


「あ、あの。明日のお迎えはママが来ると思います」

「そうですか。分りました」

「ありがとうございます」


頭を下げたあたしは香恋ちゃんの荷物を持って、手を引いた。