「…ま、とりあえず来いよ」
何も答えない私に翔はそう言ってエンジンを切る。
車を降りて助手席に回った翔は、ドアを開け私を見下げた。
「美咲?」
「あぁ…うん」
車を降りてから先を行く翔の後を着いて行く。
結局こうやって翔に縋りついてる自分は何なんだろうか。
そして、今の関係は何?
自分勝手にも程がありすぎる。
「風呂、入りたかったら入れよ」
リビングに来て即効そう言った翔にコクンと頷く。
別に得に入りたい訳でもなかったけど、一人になりたいが為、私はお風呂に入った。
どれくらい風呂場に居たのかも分んなかった。
色々、頭を悩ませていた所為か時間はカナリ経っていたと思う。
出た頃にはソファーに寝転んでる翔が目に入る。
そしてテーブルには数本の吸い殻とビールの缶。
「…あぁ、」
物音を立てた所為か、視線を向けた翔は起き上がって、無雑作に髪を掻き乱す。
「お酒って…」
不意に呟いた声に、翔は「うん?」と言って、そのまま伸びをする。
「お酒って、飲んじゃダメなんでしょ?」
テーブルにある缶をジッと見つめてた私は、そのまま視線を翔に送った。



