「あー…そうだ。金おいとくから」
「お金?」
「ほら食費とか、あと他…」
「いいよ、それくらい。私働くんだよ?」
「馬鹿。それとは別だろ」
ツンと人差し指で額を突かれた瞬間、ユラっと頭が後ろに揺れる。
「でもなんか申し訳ないな」
さんざん翔に頼ってきたのに…まただ。
「俺に申し訳ないって思うな。こっちの方が飯作ってもらってんのに申し訳ねぇよ」
「別にそれくらいは…」
「だろ?俺も同じ気持ち。だからいいって」
「ありがと」
「あぁ」
ニコっと口角を上げた翔はソファーから立ち上がり、キッチンへと向かう。
ボーっと見つめる先の翔は冷蔵庫から水を取り出し、薬の袋を手に取った。
やっぱ気なる。
大丈夫って言ってたけど、やっぱし気になるのは昔のまま。
5年前も大丈夫。大丈夫と言っていたけど、もうあれからカナリの月日が経ってる。
「ねぇ、…翔?」
キッチンまで行き、翔の隣に立つ私を不思議そうに見つめる。
手の平にだした錠剤を見ていると、
「あぁ、これか」
気づいた私にそう言って、翔は薬を口に含み水で流し込む。



