永遠の愛


朝の日差しが心地よくて、春なんだなって、そう実感させてくれる。

辞めた人の代りで入っていた定時制を辞めてしまってからは、その毎日が暇で暇で仕方がない。


日本に帰って来た時のように時間の使い方が分からなく、大半は家で過ごす日々だった。

だけど、あの帰って来た頃の毎日とは全く違う日々。


帰って来た事の嬉しさとか、皆との喜びとかなんてものが一切ない。

ただ思うのは旅立って行く日の事ばかり。


そして未だにポツンと置かれたマンションの鍵がどうしても手に触れる事が出来なかった。

このままマンションに戻ってしまったら、どうなるんだろう。とか余計な事ばかりを考えてしまって、行動が起こせない。


パンドラの箱の様に蓋を開けるのが怖かった。

だからなのかも知れない。


この先の事を考えるのが出来なかった。

だからと言って、こんな私的な事を葵に言うのもどうかと思った。


こんな事を考えながら家に居るのもどうかと思った私は、久々に美術館に足を運んだ。

相変わらず心癒されるその写真に心を奪われそうになる。


見つめる先はあの頃と全く変わってない立ち位置。

まだ帰って来て1年も経ってないのに遠い遠い昔のように感じた。