食べ終えて片付けをした私はソファーに深く座ってタバコを咥えている翔の隣に腰を下ろす。
「あのさ、翔…」
「うん?」
テレビに視線を向けていた翔は口からタバコを離し、私に視線を送る。
「あのさ…前みたいにさ、ここに泊まってもいい?…あ、でもママの所にも帰ったりするけど」
「うん、いいよ。つか、もしかしてそれ気にしてた?」
「気にしてたって言うより悩んでた?って言うか…何て言うか、5年も経ってるからいいのかな?って思って」
そう言った瞬間、翔はフッと鼻で笑ってタバコの灰を灰皿にトントンと打ち付ける。
「つかさ、その為の合い鍵」
「あぁ、うん」
「お母さんの所でもいいし、ここでもいいし、美咲が決めな」
「…うん」
返って来た言葉はママと同じだった。
最終的には私が決める事だ。
どっちとも手放せない存在。
いい歳してママ、ママ言ってるかもだけど、長年居なかった分、少しでも近くに居てあげたいと思った。
でも、それは翔に対しても全く同じ。
昔にはあまりなかった感情が、年齢を重ねていく内に深くなってきてる。
少しは、大人になったんだろうか。



