「私は…」
そこまで言って口を継ぐんでしまった。
先のない言葉が私の口を止める。
「つか、何でもかんでも勝手に決めてんじゃねぇよ」
その翔が放った少しだけ怒り口調の言葉に私に視線を上げる。
案の定、声と同様に翔の表情は険しくため息を吐き捨てた。
「…勝手に…って?」
「また、あっちに行くって何?」
「…え?」
翔が知ってた事に思わず声を失い、少しだけ目を見開いてしまった挙句、私の瞳が揺れ動いたのが自分にでも分かった。
「葵ちゃんが言いに来た」
「葵…」
「そう」
何、言ってんの、葵。
言わないでってお願いしたのに、なんで言うわけ?
「葵…働くんだってね。翔の紹介って言ってたけど…」
「あぁ。…つか今はその話しじゃねぇだろ。お前の事話してんだけど」
避けようと思ったはずが、そうにはいかなかった。
翔は納得がいかない表情を浮かべ、顔を顰める。
そして、
「ふざけんじゃねぇよ!1週間後って、ありえねぇだろ…」
さっきよりも声を上げた翔の声が胸に物凄く響いた。



