「あー…うん。そのつもりだったけど…」
「だったけど?」
ママは不思議そうに首を傾げた。
「ママ、帰って来たんだったらいようかな…」
「何で?」
「何でって寂しいでしょ?」
そう言った私にママはクスクスと笑みを漏らした。
「寂しいってママを何歳だと思ってるのよ。寂しいって思ってるのは翔くんのほうでしょ?美咲の事、ずっと待ってたんだから」
「……」
「いいよ、行ってきても。別に向こうで住んでもいいのに。…翔くんがいいって言うんだったらね」
「ママ…」
「それは美咲が決める事。あ、そうだ」
「うん?」
「ちゃんとご飯作ってあげなさいよ。暑いのに頑張ってんだから」
「…うん。そのつもり」
「そう。だったらいいんだけど。じゃ、いってらっしゃい」
ママはここぞとばかりに笑みを漏らしヒラヒラと手を振る。
そんなママに釣られて微笑む私はコクンと頷いた。
「行ってきます」
ママが中に入ってすぐ私はもう一度、翔のマンションへと向かった。
一旦、中に入って荷物を置くと、もう一度私は出て近くにあるスーパーへと行った。



