――――…


「…美咲?」


次の週の休みの日、私は葵のアパートへと向かっていた。

突然来た私に目の前の葵は驚いた表情をし、その後そっと微笑んだ。


「ごめん、来て」

「ううん。何も予定ないし」

「そう。…諒ちゃんは?」

「仕事だよ」

「……」

「とりあえず上がったら?」


開けてたドアを更に開けた葵は、あたしを通す様にと身体を壁側に寄せる。


「うん」


頷いた私はヒールを脱いでリビングに向かう途中、勢いよく駆け寄ってきた香恋ちゃんに足をギュっと掴まれた。


「…みぃちゃんっ、」


そう言って顔を上げて微笑む香恋ちゃん。

その笑顔が凄く可愛くて恋しいと、そう思った。


「久しぶりだねー…元気にしてた?」

「うん!!」


笑顔満開で頷いた香恋ちゃんは私の足から離れ、小さい手で私の手をギュっと握る。

そしてそのままソファーの所まで引っ張って、ニコって笑った。


「香恋ちゃん、これ食べる?シュークリーム」

「うん、食べる」


差し出した箱を両手で抱えると、そのまま香恋ちゃんはキッチンへいる葵の所に向かって行く。


「ママ、ママ」


そう言った香恋ちゃんの可愛らしい声を聞きながら、テーブルの周りにありふれているオモチャをそっと手に取って見つめた。