永遠の愛


家に着いた頃にはもうとっくにママの姿なんてなかった。

昼のみになった仕事に、5年振りに見ても分かるくらいママの顔色は良さそうだった。


だからママの顔を見た時に凄くホッとした自分が居た。


忙しかったあの頃に比べて何もすることがない日常。

働くまでの休み期間はあるものの、その日々をどう過ごしていいのかなんてさっぱり分かんなくて時間の使い方がよく分からない。

別に今やりたい事も、したい事もない。

なんだろ、この感覚。


初めてのこの生活に何だか変な感じがした。


だから結局は午前中はベッドに寝転んでいただけだった。

あの頃の生活に比べたらありえない生活になんだか笑える。


ほんと、人生って分かんない。


時間なんて全然意識などしていなくて、気づいた頃には15時を回ってた。

その時間に当然ながら驚く私は、小さめのバックに服と必要品を詰め込んで玄関を出た。


「あ、美咲?」


不意に聞こえた声に視線を向けると、ママがニコっと微笑む。


「あれ?ママ早いじゃん」

「うん。早く終わったから」

「へぇー…そっか」

「翔くんち行くの?」


そう言ったママは私が抱えているバックに視線を落とす。