「そう。…でも、もう関係ないや」
心とは裏腹に出てくる言葉はどうでもいい言葉。
本当は関係ない事ないのに。
なんで、そう自分の中で抑え込むような言葉しか出てこないんだろうって、そう思う。
隠すとか、隠さないとか、そー言うんじゃないのに。
なんでだろう…
「ねぇ、センセ―なんで別れちゃったの?」
「……」
ほんと。なんでだろう…
「センセ―と楓さんは凄くお似合いだったのに」
「もう、終わってるの、私達…」
「だからなんで?ねぇ、センセ―…」
「もう、その話はいいからホントに…」
「でもっ、」
「ほら、天野さんもそんな事気にしなくていいから自分の心配しなよ。来月行くんでしょ?用意とかしてんの?ちゃんと今からしなくちゃ間に合わないよ?」
心とは裏腹に笑みを漏らす私に対して、天野さんは納得のいかない表情を浮かべる。
顔を顰めたまま口を開こうともしない天野さんに、
「…って言うか、そんな顔しないでよ。可愛い顔台無し。外寒いし早く帰んなよ」
ポンと天野さんの肩に触れて通り過ぎた瞬間、思わずため息を吐き出してしまった。
やるせないため息。
何が何だか分かんないため息が、ものすごく頭に沁みついて離れなかった。



