気温はいっきにグッと落ち、気づけば2月。

その初旬。


初めに来たのは菜緒からの資料だった。


住む所、契約書、あらゆる物の中に混じって入っているのは飛行機に関する大事な物。


…――4月7日。


それはあたしが飛び立つ日。


「…なんでっ、」


思わず漏れた声。

よりによって、何でこの日なの?


旅だつ日は絶対に忘れちゃいけない。

なのにそれに加えて絶対に思い出すその日付け。



だって、

だって、


その日は翔の誕生日の日だから。


何かと何かを都合に、あたしに翔の事を思い出させる。

偶然とは分っていながらも、こんなにも周りから思い出させちゃうと、気持なんてものはスッキリとはしない。


それに加えて、あの日…


翔に渡してと預けたお金。その数日後まるであたしだと分ったかの様に、翔から久しぶりに電話があった。


だけど、あんな光景を見てしまった限り出られるわけもなく、出ることを避けたのはあたしだった。


もう、いいから…

もういいから、そっとしてよ。


そう心の中ではそう思ってたのに。