じゃなきゃ、…そうじゃなきゃ、私の気持が晴れてはくれなかった。

こんなにも縋りついてた自分が情けなくて、苦しいから。


だから、私は次の日、通帳に入ってた50万円を引きだして病院へと向かった。

 
渡す手段をホントに悩んだ。

悩んで悩んでして、どうしようかと思った。


マンションの鍵なんて持ってなくて、だからと言って振りこむ先も分んない。

誰かに渡してもらおうと思ったけど、誰も居なくて、結局は自分しかいなかった。


でも来た事に凄く後悔した。

ここに来てしまった自分を恨みたかった。


誰も居ない静まり返った廊下。

その廊下を奥まで進んで目的の場所に辿りついた瞬間、見てはいけないものを、この目で見てしまった。


少し開いた扉。

そして全てカーテンが全開されている、そのベッドにいるのは紛れもなく翔の姿。


でも、その翔に抱きつくかの様に唇を交わす――…


…アカネさん、だった。