「う、うん。覚えてる…けど」
忘れた事なんてなかった。
ホントなんだろうかって、内心疑う時もあったけど、こうやってもう一度面と向かって言われると、改めて実感される。
「今は無理だけど、来年。…俺が30になったらしよ?」
「……」
「美咲と…一緒に居たいから」
胸が熱くなったのが一瞬で分かった。
その瞬間、私の顔から笑みが漏れる。
「…うん」
そう呟く私に翔は覆いかぶさるように唇を重ねた。
翔の体温が温かかった。
5年と言う年月を越え、年を重ねても幸せは幸せだってそう心から思った。
待たせる方も待ってた方も辛かった5年。
その5年を覆す様に私は翔に身体を捧げてた。



