どれくらいその場所に居たのか分らないくらい佇んでしまった。
色んな海外に目を通し、別にいらないけど何通かパンフレットを手にしてその場を離れようとした時、
…――ドンっと誰かと当たった拍子に思わず持っていたパンフレットを落としてしまった。
「すみません」
そう声を掛けてしゃがみ込む私にスッとぶつかった人の手が伸びる。
「あ、ごめん。俺も悪い」
素早く掻き集めて手に取る私に差し出されたパンフレット。
「有り難うございます」
差し出されたパンフレットを受け取った私は立ち上がって足を進めようとした瞬間、
「え、…美咲ちゃん?」
不意に聞こえた声に思わず顔を上げた。
「あ…、」
凄く懐かしい顔が目の前に飛び込む。
ジッと見つめる私にその人は口角を上げた。
「やっぱ、美咲ちゃん」
「…田口先輩?」
「わぁー、すげぇ。今回は覚えてくれてたんだ」
「今回はって…」
思わずそう言った私は苦笑いをする。
そんな田口先輩はあの時と変わらない笑顔を私に向けた。



