今日の一日の大半は、ほぼ天野さんが言った事ばかりが頭の中で駆け巡ってた。
距離を置いてたのにも係わらず、そうやって天野さんに言ってたんだって思うと、何だかもどかしくてしょうがなかった。
菜緒や葵が言った通り一方的に私から離れて行った決断。
間違ってないって思うけど、思えば苦しい。
だけど翔とずっと居ても何も出来ないし、迷惑ばかり掛けるのに違いない。
「…美咲ちゃん」
不意に聞こえた声に反応したのは4時間目が終わって昼休みに入った時。
振り返る先を見て、その視線に止まった人物に思わず首を傾げてしまった。
誰?って思ったのも一瞬。
「あ、あぁ…一条くん?」
「何、その反応」
そう言った一条くんはクスクス笑う。
「あ、いや…髪の色違うから分んなかった」
一条くんの髪に視線を向ける。
金髪に近かった髪が薄い茶色になってて、その髪は無雑作に遊ばせている。
「あー…どう?」
そう言った一条くんは自分の髪を少し引っ張る。
「あ、うん。いいけど」
「ホントかよっ、」
クスクス笑う一条くんはいつものままで何も変わらない。



