「今日は来るって言ってましたけど」
「あ、そう…ならいいんだけど」
「ねぇ、それよりセンセ?」
「何?」
「えっと、その…大丈夫なんですか?」
ちょっと戸惑い気味に言われた言葉に思わず首を傾げる。
「何が?」
「…彼氏さんと何かあったんですか?ほ、ほら…前センセーの家に送ってもらった時、なんかいい雰囲気じゃなかったので…」
天野さんは視線を少し逸らして顔を顰めた。
…やっぱ、気づいてたんだ。
「あー…うん」
って言うか、もう別れたんだけどね。
それは言わないけど。
「それに彼氏さん、また戻るって本当ですか?ホストに…」
そう言われた言葉に思わず少し目を見開いてしまった。
な、なんで天野さんが?
「え…何で知ってるの?」
「実は私のバイト先、ネオン街の裏手通りなんです。あの…飲食がずらっと並ぶ辺りにあるんですけど、そこによくお客としてホストの方が来ますよ」
「……」
ネオン街の裏手。
確か初めて翔に連れて行かれた時に知った飲食街。
「さすがに彼氏さんは来たことないですけど、そう言う話しがちらっと聞いたので。そ、それでセンセーは彼氏さんと喧嘩でもしたのかなって…」
そう言った真剣な天野さんの目を見つめることは出来なかった。
これじゃ、どっちがセンセーなんだか分かんない。



