「はい。ほら、この辺に居るって言ったでしょ?」
「う、うん。見つかったの?」
「はい。本当に居ました」
「で、一緒に住んでる…とか?」
そう言った私に天野さんは少しだけ首を左右に振って顔を顰めた。
「ここに居るのは仕事上で、もうすぐ遠くに行くんだって。お父さんに一緒に来るか?って言われたんですけど、断りました」
「なっ、なんで?一緒に住みたかったんじゃないの?」
「母と一緒に住むのはやっぱ抵抗があるけど、卒業だけちゃんとしようかと思って…」
「そう」
「卒業したらいくらでも家出れるかなって思って…」
「そっか。それで良かったの?」
「はい」
天野さんは薄ら笑みを作って私に視線を向ける。
「そっか。また何かあったら言って?聞くから」
「はい、ありがとうございます」
「で、一条くんは大丈夫な訳?まだ顔すら見てないけど」
数日始まった学校。
まだ一条くんの姿を見ていない。
考えたら冬休みが入る前から学校に来てないし、連絡さえも取っていない。
連絡をしたほうがいいんだけど、どうも手が進まなくて。



