「美咲に連絡しようと思ってたんだけどバタバタしててさ、年明けてこんな日が経ってしまったよ。ごめんね」
「ううん。きっと忙しいだろうなって思ってたから私も連絡しなかっただけだし」
「美咲に謝ろうと思って」
「私に?」
視線を向ける先に見えるのは少しだけ表情を崩した葵の姿。
「ほ、ほら美咲のママのお墓で言い合ったばかりだったから。それもあってか連絡しずらかったんだ」
「あー…その事か」
結局あの日は一条くん事件で葵とはギクシャクしたまま別れたっきりだった。
だけどそんな事すら忘れてた私は遠い昔の記憶のように感じた。
「美咲…。芹沢さんとは?」
そう戸惑いながら口を開いた葵はゆっくりと私に視線を向けた。
まぁ、聞かれるだろうと思ってた内容。
きっと葵が来た理由はそれがメインだろう。
葵には絶対に隠す事なんて出来ないから私の思うがままに口を開いた。
「…別れたよ」
「え?」
小さく聞こえないくらいの葵の声。
固まってると言えるほどに葵の驚いた表情は変わらない。
瞬きさえも忘れてるんじゃないかってくらいの葵に、私はゆっくり息を吐き捨てた。



