永遠の愛


「結果はいつ出せばいいの?」

「うーん…そりゃ早い方がいいけど。4月までには」

「そっか…」

「でも、おいしい話だよ。留学生ならではの特権。費用とか何もいらないの。初めの飛行機代も先方が出してくれるんだって。だから考えてみてよ」

「うん」


どれくらい居たのか分らないけど、食べ終わった後も他愛ない会話をして菜緒と時間を潰した。

菜緒は留学中にあっちで彼を見つけて今は充実した日々を送ってるらしい。


だからそれも踏まえて今は帰る気がないらしい。


「また会えるといいね」


夕方時、長居してしまった所為で辺りは薄暗くなり始めていた。

店を後にした私達は、駅までの道のりを歩く。


「そうだね。久し振りの菜緒と出会えてなんか、気分が晴れた感じ」

「まぁ、なんて言うか。美咲ちゃん追い込まれすぎ?あっちでの生活とは全然違くてビックリしたけど」

「それも私の人生なのかもね…」

「日本語講師の事もだけどさ、彼と本当に終わっちゃって良かったの?」


菜緒はグルグルと巻き付けてマフラーに顔を沈め、悴んだ手を擦った。


「だと、思うけど…」

「ホストの世界ってさ、何かよく分かんないけど、もう辞めちゃってるんでしょ?」

「うん。…多分ね」


誘われた業界に入ってなければの話だけど、もう私は知らない。

あれっきり翔と連絡もとってなければ、翔の噂も聞いてない。

今、どこで何をしているのかとか、誰といるのとかも知らない。


だって、休みに入って、出歩いてなかったから。