「何やってんの?」

「何って…」

「それがお前の答えな訳?」


翔がそう言ったのはもちろん、この鞄に服を詰めているからだろう。

見たくても見れない翔の顔。


「…ごめん」


思わず呟いてしまった私の小さな声が耳を通りぬける。


「って事は一緒に居れねぇって事だろ?」

「……」

「つか勝手にお前1人で決めんなよ」

「……」

「俺に何も言わねぇで荷造りかよ」

「……」

「まぢ意味わかんねぇわ」

「……」

「なぁ、美咲?」

「…ごめんっ、」


何だかここに居ると泣きそうだから、私は止めていた手を慌てて動かし、バッグを閉め立ち上がって足を進める。

そしてその瞬間、グッと翔に腕を引っ張られ、私の崩れた身体は隣にあったベッドへと倒れ込んだ。


「ごめんじゃ、分んねぇだろ」


仰向けに倒れ込んだ私の上に翔の顔が現われる。

そしてその重なった瞳から私はそっと逸らした。