やる事を全て終えたあたしは急いで学校を飛び出した。。


もう24時になろうとする時間。

肌を掠める空気が冷たくて、手が悴む。


駅から走って、家に辿りついた頃には息が切れ、白い息が口から広がる。


ドアを開けて、真っ黒な玄関に明かりを灯した瞬間、何か変な違和感を感じてしまった。


「…ない」


あるはずの天野さんの靴がない。

嫌な予感が頭を過った瞬間、あたしは慌てて階段を駆け上がる。


そして部屋に辿りついて電気を点けた瞬間、ベッドには天野さんの姿がない事に何だか胸騒ぎがしてしまった。

念の為、家の中のあらゆる場所を探したけど、天野さんの姿は見つからなく、携帯に電話をしても電源を入れてないのか繋がる事はなかった。


だから慌ててあたしは携帯を操作し耳に当てる。


バクバクと鳴り響く心臓を落ち着かせるとともに携帯から鳴り響くコールに耳を傾けてた。


「…はい」


どれくらい経ったのか分らない時だった。

ちょっと冷たく低い声に沈んでいた意識が戻る。


「一条くん!?」


張り上げた声に不安が過る。