「居るんだろ、そこに。…里桜香」
「…っ、」
これ以上言葉を出せないのは当たっているから。
やっぱ、鋭いな、一条くん。
「別に居るならいいけど。…つーかさ、俺当分行かねぇから…学校」
「えっ!?なんで?」
「ちょっと、」
「ちょっとって何?困るんだけど」
「別に美咲ちゃんが困る事でもねぇじゃん」
「いや、困るよ。単位ないよ?」
「俺の単位がなくなるだけで美咲ちゃんには関係ないっしょ?別に美咲ちゃんが困る事じゃねぇし」
「困るよっ!私、先生なんだし」
「そう言う時だけセンセ―とか言うなよ」
「だって、」
「どーせ、ほら…後数日も行けば冬休みに入んじゃん。だから風邪って事で。んじゃ――…」
「ちょっ、」
プツリと一方的に切れた電話。
思わず切れた画面を見てしまった。
“ちょっと小耳にはさんだ事…”
そう言った一条くんの言葉が気になる。
凄く、凄く気になる。
…もしかして、天野さんの事。



