「高校生の頃ね、私もエンコウしてたんだ…」
「……」
ポツンと呟いた声に天野さんの肩が少しだけ揺れた様な気がした。
「家計が苦しくてね、おまけに留学って言う夢までもってたからお金に困ってた。だから、あの頃は毎日必死だったの」
「……」
「その頃にね、ホストだった彼と出会って数えきれないくらい色々助けてもらってさ、」
「……」
「さっきの諒ちゃんもね、学生の時からの仲で沢山迷惑掛けてきてんだ。天野さんと私が似てるって、そう言ってた」
「……」
「何がだろーね」
「……」
そう呟いた私は薄ら笑みを零す。
確かに似てる部分もあるってそう思うけど、諒ちゃんが思う似てるってのは何なのかは分かんない。
「だからか分んないけど、天野さんの事心配してる。ちょっと怖そうだけど根はいい奴なんだよ」
「……」
「でも、そんな諒ちゃんを追いこんだのは私。諒ちゃんね、私の所為で刺されたんだ」
「……」
そう言った瞬間、天野さんの身体がゆっくりと動き、身体が私の方へと向く。
深く被ってた布団から瞳だけを出し、その目が泣いてたって言う証拠を現す。
少し腫れて赤くなっている目が、切なそうに私を見た。



