天野さんをベッドに寝かせた後、風呂に入った私はよく分らない胸騒ぎでいっぱいだった。
部屋に入ると薄暗い部屋の中で布団に包まる天野さんの隣に身体を横にする。
離れて寝ようと思ったけど、何故か私の身体は無意識の内に天野さんの隣にいた。
「…天野さん、寝た?」
「……」
小さく呟く私の声に天野さんの反応はない。
寝てるのか聞いてるのか分らないけど、壁に身体を向けている天野さんは布団を深く被っている。
聞きたい事は山ほどある。
何があって、どうしたのかとか、とにかくいっぱいあり過ぎる。
言いたくない事だって正直、私にはわかる。
わかるからどうしていいのかも分んなくて、自分自身に焦ってしまう。
過去と重ね合わせる自分が居て、苦しそうにしている天野さんを見ると何だか涙が込み上げて来て、気づけば私は口を開いてた。
「私…イイ子じゃないの」
「……」
「天野さん言ったよね?センセーはお嬢様だって。けどね、全然イイ子じゃないの」
「……」
「ホントにダメなんだ、私」
過去を振り返れば何もいい事がなくて、でも振り返らなければいい思い出も何もかも見失ってしまう。
過去の自分があるからこそ、今の私が居て、周りに沢山支えてくれる人がいたから今があるんだって、そう思う。
そう思うから過去も必要なんだなって何処かで受け止めて、それを踏まえて私は天野さんに語ってた。



