“アンタ、もしかして――…”
その後の言葉は諒ちゃんは何て言おうとしてた?
私が思ってたのは、喧嘩でもした?
そんな言葉。
だけどよくよく考えてみれば、顔の切り傷に痣。おまけに乱れた髪に制服。
喧嘩とかじゃない?
諒ちゃんはあの後、何を言おうとしてた?
もしかして――…
襲われた?
ヤられた?
そんな言葉が頭を遮った時、身震いが起きてしまった。
確かに天野さんは震えてた。
私がそっと触れただけで震えてた。
きっと、それは寒いからじゃない。
怖かったから。
…誰に?
諒ちゃんが言ってたのは正解だったのかも知れない。
男に殴られたといっていた諒ちゃんの勘はまさに鋭かったのかも知れない。
しかも、天野さん…何でこんなの持ってんの?
望んでない妊娠を拒否る為の薬。
不間違いな妊娠を避ける為に72時間以内に服用する物。
一瞬、私の意識が飛んだような気が、した。
…天野さん、何があった?



