「あっ、ドライヤ―脱衣場の引き出しにあるから使って」
長い髪をタオルで拭いている天野さんにそう声を掛ける。
「何から何まですみません」
「いいよ」
ニコッと微笑んだ私は、チラッとスマホを見てすぐに逸らした。
もう、今はいい。
正直、面倒くさい。
天野さんに2階の寝室を案内した後、私も続けてお風呂に入った。
ホントに何もかもに頭がついて行けなくて、気分さえも落ちる。
気晴らしに何か、と言っても別にする事もなく同じ毎日の繰り返しにウンザリする。
何が楽しいのとか、何が嬉しいのとか、そんなの分らないまま過ごしていく毎日が嫌でたまらない。
なのに、また明日が来る事に憂鬱を覚える。
風呂から上がって部屋に行くと、天野さんは既にベッドで眠りに落ちていた。
床にもう一つ敷いておいた布団に私は身を収める。
そして何気に見たスマホにまたため息が出てしまった。
そのままで放置していたスマホ。
明かりを灯すと、諒ちゃんのLINEの内容がクッキリと目につく。
…もー、なんでっ!
少し苛々してしまった気分のまま、私はスマホを枕元の上にポイっと投げ、私は頭まで布団を被った。



