「…おーい、美咲ちゃん?」
「えっ?」
不意に呼ばれた事にハッと顔を向ける。
「何か、あった?ボーっとして。さっきから呼んでんのに」
「あっ、いや。…だ、だからさ、天野さん家に泊めようと思うの」
「は?」
「だから、天野さんを…」
「つか、なんの“だから”な訳?どーやって帰んの?って聞いてんだけど」
「あぁ、そっか…」
ちょっと戸惑って私は一息吐く。
「で、どうして帰る?」
「あ、タクシー拾うよ」
「そう。で、里桜香も一緒に?」
「うん。連れて帰るよ」
「まぁ、そのほうがいいかもね。俺より美咲ちゃんのほうがいいっしょ」
そう言って一条くんは口元を緩め少し微笑んだ。
一条くん達と別れた後、停まっていたタクシーに天野さんと乗り込んで家へと向かった。
その途中、何でかしんないけどやけに翔の存在を気にして仕方がなかった。
あれから連絡なんて一切ないけど。
って言うのも、私が何もまだ言ってないからであって…
だけど、未だに心の整理ってもんがついてないから。



