頭を何度か左右に振って、深呼吸をする。
…ヤバい、ほんとに。
「弱いのに張り切んなよ」
フッと笑った声に顔を向けると、一条くんは鼻で笑ってた。
「大丈夫?頭?」
そう言って、自分の頭に指差す。
「あー…、なんとか。それよか、お金ごめん。なんか払ってもらったし」
軽く頭を擦りながら、私は一条くんを見上げる。
「別にいいって。それよか二人でいる事の方が驚きだけど」
一条くんは数メートル先を歩いている天野さんを見つめる。
天野さんは他の男の子達とふざけ合いみたいに楽しんでる。
…良かった、元気そうじゃん。
「天野さんってさ、お母さんと仲良くないの?」
本当は家に行く方がいいのかと思った。…担任として。
でも、それをして本当にいいのかと、思った。
「仲いいとか、悪いとか、そう言うんじゃなくて、里桜香が距離置いてるだけだろ」
「…距離?」
「あんな風になりたくないって言ってっからな」
「…そう」
「だから母親として見てないだけ。親が構ってても里桜香が避けてるだけ」
「…そっか」
気持ちは分らなくでもない。
別に同情とかそんなんじゃないけど、私と似てる様な気がして心が打たれた。



