永遠の愛

「うん。…翔と」

「あー…そうなんだ。気を付けて」

「うん」

「じゃあ今日は帰んないね」


そう言ったママに首を傾げるとママはクスクス笑みを漏らせて、


「いってらっしゃい」


リビングに姿を消した。


「行ってきます」


聞こえてないけど、とりあえずそう言った私はヒールを履き玄関を出る。

スマホの画面に映し出されるデジタル時計。


…19:07。


まだ夏の空は明るい。

道路に出て遠くを見つめると見覚えのある車に笑みが零れた。

近づいてくる翔の車。

その車が目の前に停まると、私はすぐに助手席へと乗り込んだ。


「ごめん、待たせて」


翔は少し顔を顰める。


「ううん。さっき出て来たばっかだよ。お風呂入ってたの?」

「あぁ。じゃねーとそのまま来れねぇよ」

「そっか…」


冷房の風に乗ってくる石鹸の香り。

いい匂いで癒されると言うよりもドキドキする。


久し振りに会っても絶対ドキドキなんかしないって思ってたのに、どうやら今の私は違う。

あの頃と違って、スーツ姿じゃなく私服だからだろうか。


会ってない期間が長すぎた所為もあるのか、何故か緊張する。