永遠の愛

「歩道橋って、どこの歩道橋だか分かんねぇだろ」


暫く経って聞こえてきたのは呆れた声。

振り向く先には顔を顰めた一条くんが居た。


「来てくれたんだ」

「来いって言ったのはそっちだろ」

「だね。まさか来るとは思わなかったから」

「そんな寂しそうな声して言われたら行くしかねぇじゃん」

「…そっか」

「つかさ、呼ぶ相手間違ってね?」

「さぁ、どうだろ。間違っては無いと思うけど。…一条くんが一番だったから」


そう言って私はニコっと微笑んだ。


「は?一番?…何が?」

「電話。掛けて来たのが一番だったから」

「それって俺の前に誰かが掛けてたらソイツ呼んでるって事?」

「そうかも…」

「すげぇ嬉しくねぇんだけど、今」


ため息を吐き捨てた一条くんに私はクスクス笑う。

そんな笑う私を呆れた表情で見た一条くんは取り出したタバコを咥えて火を点けた。


「ねぇ、飲む?あげる」


ビニール袋から取り出したビール。

一条くんに向けて差し出すと、それをすんなりと受け取った。


「何?ヤケ酒?」

「ちがーう!」

「酔ってる?」

「酔ってません。頭が多少フラフラするだけ」

「それ酔ってるっつーの」

「そっか」


ハハっと笑った私を見て一条くんもフッと笑う。

そしてタバコを咥えたままビールのプルタブを開けた。