永遠の愛

「…ごめん」

「……」


ポツンと私の口から落ちた言葉と同時に更に潤む瞳。


「ちょっと距離置きたい」

「は?」


素っ気なく呟かれた翔の声。


「少し翔と距離置きたい」

「つか、何でそーなんの?」

「ごめん。翔に対する気持ちが分かんない。…頭の中がゴチャゴチャしてて、翔と居ると良くわかんない感情が芽生えて…。だから少しだけ距離置きたい」

「距離を置くっつー事はこのまま一緒に居るか居ないかを考えるっつー事だろ?」

「……」

「だったら俺はそれに賛成出来ない」

「……」

「そんな簡単に決めちまったら今までなんだったっつー話しじゃね?」


複雑な気分だった。

複雑で複雑でどうしようもないこの感情。


押さえる事の出来ないままさらけ出していく自分が苦しくて仕方がなかった。 

正直いって、あの女が言った通り翔を縛ってたのは間違いない。


「…ごめん」

「ごめんっつー事は距離を置くっつー事だろ?」

「今はそうしたい」

「俺が無理っつっても?」

「うん…」

「そっか。お前が決めたんだったら、もう何も言わねぇわ」

「……」

「けど俺の気持ちは変わんねぇから。どれくらい置くのか知んねぇけど、美咲の気持ちが定まるまで待つから」


黒のジャージ姿のままの翔は髪を無造作に掻き、テーブルの上にあるキーケースをスッと掴む。

そしてそのまま玄関に向かい、ガチャン…とドアの音を響かせた。