「諒也から聞いた。その事については悪いと思ってる。その事についてちゃんと話そうと思ってんのに何で電話に出なかった」

「……」

「聞いてんのか?」

「……」


翔と目を合わせないようにと視線を逸らすと、翔の深いため息が零れ落ちる。


「おい、美咲…」

「……」

「無視か?」

「…何で言ってくれなかったの?」

「え?」

「入院してる事、なんで言ってくれなかったの?」


眉間に皺を寄せたままスッと翔に視線を送る。


「死に至る病気じゃねぇし、美咲に心配かけたくないと思ったから」

「そうじゃないでしょ?言うのが普通でしょ?じゃなくても私はずっと翔の身体の事、心配してた。いつも大丈夫、大丈夫って言って何も教えてくれないじゃん」

「だから悪いと思ってる。ちゃんと感知したし、薬も減ったしこのままだともうすぐ飲まなくて良くなる」

「だからそーじゃないの。私が言いたいのはそーじゃないの!!」


唇を噛みしめた瞬間、瞳が潤み始めた。

多分、このままいっちゃうと涙が溢れてくる。


昔なら強がって必死で抑えようとしてた涙だけど、少し大人になった今、そうにも出来ないみたい。