「全然。…つか、彼氏に電話しなくていいの?」

「あー…うん」

「そっか。…じゃ、」


ガチャンと閉まった扉。

思わず出てしまったため息に申し訳なさを感じてしまう。


ホントに何やってんだろ、私。

馬鹿じゃん。


全然、5年前とやる事が変わってない。


床に腰を下ろし暫くの間、膝を抱えた。

このまま時間が止まってしまえばいいのにって思った。


刻々と過ぎて行く時間。

明日がやって来る。

ただそんなこれからの毎日が私にとったらもの凄く苦痛で怖かった。


そんな事を考えながらふと、気になった。

気になったと言うか頭の中で思い付いてしまった。


その思いたってしまったスマホを鞄の中から取り出し、画面を見つめる。

不在マークが目につくそのマークを何気なく開けて見た。


数回に渡って掛ってきている翔の名前。

だけど翔に電話をしようなんて思わなかった。


今日はなんとなく話したくない。

話して解決しなくちゃいけないって分かってんだけど、今の私はそうにもいかない。


もう少しだけ、時間が欲しい。

そう思いながら私はそのまま床に寝転んで目を閉じた。